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関東かなと関西かな

かなを条幅のような大きな用紙に書き始めた歴史は浅く、昭和23年に「書」として、日展(日本美術展覧会)に加わってからのことです。それまでのかな書は、帖(折手本)・巻子(巻物)など、細字中心の机の上で書く芸術でした。これをきっかけにして軸・額などの大きな文字を書く芸術へと展開しますが、これを「大字かな運動」と呼んでます。

 

関西の「七人の侍」といわれた安東聖空、桑田笹舟、日比野五鳳、田中怪堂、内田鶴雲、谷辺橘南、宮本竹逕ら、かな作家が活躍して全国に関西のかなは拡がりました。このように、現代かな書の中心的な潮流を築いた関西のかな書は、「大字かな運動」を基軸にして成長・発展し、多様な方法論や作風をつくりだしました。

 

一方の関東には、漢字書と同じように古筆(平安・奈良時代の書)の拡大臨書に重点を置いた「大字かな書」が生まれて、ひとつの流れをつくりだします。これらを「関東かな」と称して、「関西かな」と区別しています。

 

関東かなは知的、関西かなは情的という評価もありますが、あくまでも作風(書風ともいう)の違いであり、手本を選ぶ基準はご自身の好みであって、両手本に長所・短所はありません。

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※第71回埼玉県書きぞめ展覧会
高校全学年仮名お手本「高野切第一種」平安・伝:紀貫之
釈文:「あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも」

 
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