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「手で書く」ことの大切さ

最近、政治家の漢字の読み間違いが多く、マスコミで批判されていましたが、この問題は、私たち自身にとっても「深刻な問題」ではないでしょうか?

 

今では、手紙はLINEで、日記はBlog。タブレットやスマホの普及で、手で文字を書く機会が減少していることが問題の原因と思われますが、平成26年度の「国語に関する世論調査」(文化庁)によれば、「文字を手書きする習慣をこれからの時代も大切にすべき」と答えた人が9割以上もありますから、手で文字を書くという根強い願望があるのでしょう。

コラム7月

文化審議会委員も務められた漢字学者の阿辻哲次先生は、
 
『筆やペンを使って手書きで文章を書いていた時には、私たちは言葉を丁寧にひとつずつ選んでいました。それと同じ状況が、機械を前にしてキーボードを使って書いても、同じように実現されなければならないのは当然のことです。日本語に対する各人の能動的な姿勢が、今ほど重視される時代はありません。近代科学文明の先端に必要とされるのは、冷徹な機械を前にしての理知ではなく、実は人間のこまやかな感性なのです』
 
と述べ、間接的に手書きの大切さを教えています。
 

日本では江戸時代から「読み(音読)・書き(習字)・算盤」という基礎教育を寺子屋が担っていました。そこでは当然のこととして「毛筆学習」を重視してきました。毛筆で書く作業は、鉛筆やボールペンとは違って一点、一画を丁寧に書きます。加えて、毛筆は硬筆とは違う、タテの動きが必要になります。これは、文字を形づくる原則を学び、手の動きを考えながら行うという教育の原点です。
書く力の養成には単純反復練習を基本にし、漢字は表意文字※であるため、漢字の意味を学ぶことも大切です。
例えば、書きながら、「木」は大地の下に根を張った形から生まれた字で、その木が古くなれば「枯」れる。などと学べば生涯忘れることはないのです。
 

※【表意文字】ひとつひとつの文字が意味を表している文字。
 

コラム7月

江戸末期には成人男子で約6~7割の人たちは、読み書きができ(識字率)、それは世界最高でした。この伝統は、学校教育や書道教室で昭和20年の敗戦まで続きましたが、いろいろな事情で軽視され、今では上に書いた国の指導者さえも漢字の読みを間違える事態を引き起こしています。
また、私たちの日本語の特長は「話しことば」ではなく、「書きことば※」が多く、「手で書く」という基礎学習で学ぶという「宿命」を負っているともいえるのです。

 

※【書きことば=同音異義語】文字にしなければ意味が通じないことば。例=更生、校正、恒星、更正、構成、公正、攻勢、後世、抗生など